タルド「模倣の法則」
ガブリエル・タルドの『模倣の法則』、ようやく全訳が出版された(河出書房新社)。
まだ店頭に並んだばかりだとおもうけれども、訳者の一人が送ってくれた。以前に僕の本も送ったから物々交換ではあるけれども、実際のところかなり得した気分である。それに彼には前にもジョック・ヤングの『排除型社会』(洛北出版)をもらってるから、やはり早く何かお返しをしないといけない。
それはともかく、この本は第一版が1890年で、今回の翻訳は第二版(1895)を底本としたとか。1890年といえば、ホームズの第二作『四つの署名』が出版された年である。ホームズはその作品の冒頭でコカインを注射器で使っている。という風に、ちょうど今書いている原稿の議論がその頃の話だったので、なんとなく感じるものがあって忙しいのにぱらぱらめくってみた。
「社会とは模倣であり、模倣とは一種の催眠状態である」(138頁)
タルドの模倣論はかなり誤解されていて、彼は「模倣=真似」というような日常的なものとは違った意味で「模倣」という言葉を使っている。いってみれば「反復」。僕の『覚醒剤の社会史』も実は「反復」が重要なテーマだったので、早く翻訳を読みたいと思っていたのだった。
訳者の一人である友人は、1904年に雑誌に載ったタルドとデュルケムの論争の要約を翻訳したので大学の紀要に載せるという。そのうちネットにあげるそうだから、あがったらURLを掲載しようと思う。この論争は、実は今でも(別の形で)生きている論争だと思うし、「社会」概念をめぐる社会学の議論の方向にとっては今でも(あるいは、今だから)重要な話だと思う。
ブルーノ・ラトゥールも自称「タルドの弟子」だそうだし、相互作用やディスコースの研究を志す者にとって、やはりタルドは避けて通れないんじゃないだろうか。
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コメント
こんにちは。コメントありがとうございます。また今度寄らせていただきます。
投稿: あき | 2008年9月 7日 (日) 01時56分
はてなダイアリーに、タルド論を書いておきましたので、よろしければご笑覧ください。
投稿: 熊田一雄 | 2008年9月 6日 (土) 17時14分
そうは見えない…>あきさん。いえいえ、とんでもない。頭髪が…、筋肉が…。まあ、こんどお会いしたときには、「個人的事実」が判明しますので、ご期待ください(^^;;。
投稿: わきた・けんいち | 2007年10月 2日 (火) 00時36分
え、で、でも、そうは見えないからいいじゃないですかー(^^;。
投稿: あき | 2007年10月 2日 (火) 00時16分
でも「あの時代」っていわないでくださいよ、歳とったみたいに感じますから>あきさん。でもね~、来年、僕、50歳になるねん…。
投稿: わきた・けんいち | 2007年10月 1日 (月) 01時13分
めっちゃ久しぶりですね。うれしいです。でも「あの時代」っていわないでくださいよ、歳とったみたいに感じますからw(とはいえもう15年ほどたちますね)。ホントあの頃のみんなで飲みに行きたいっすね。
投稿: あき | 2007年10月 1日 (月) 01時08分
佐藤君、こんばんは。佐藤君、ブログ、やってたんやね~。なんだか、カッコイイですね~。僕も、村澤君から献本していただきました。勉強になるわ~。ところで、この前、寺岡君と呑みました(呑んだのは、僕だけやけど…)。関西に来たら、連絡ください、あの時代の人たちと会って京都で呑みたいです。
投稿: わきた・けんいち | 2007年9月30日 (日) 22時59分